since Aug.2009.......「声低く語れ(parla basso)」というのはミケランジェロの言葉です。そして林達夫の座右の銘でもありました。 ふだん私は教室でそれこそ「大きな声で」話をしている気がします。そうしないといけないこともあるだろうと思います。けれども、本当に伝えたいことはきっと「大きな声」では伝えられないのだという気がします。ということで、私の個人のページを作りました。
「ぼくら人間について、大地が万巻の書より多くを教える。理由は、大地が人間に抵抗するがためだ。人間というのは、障害物に対して戦う場合に、はじめて実力を発揮するものなのだ。……努めなければならないのは、自分を完成することだ。試みなければならないのは、山野のあいだに、ぽつりぽつりと光っているあのともしびたちと、心を通じあうことだ。」(『人間の土地』序文 サン=テグジュペリ 堀口大學訳)
強い言葉だ。
困難に立ち向かい、その壁ぶつかり、壁の固さと痛みから刻み出された言葉だ。彼は壁があるからこそ、そのとき人間が輝くと言っている。そしてそこから繋がりあうのだと言っている。
『星の王子様』(直訳すると『小さな王子様』)で知られているサン=テグジュペリ。そのイメージは強い。けれども上の言葉は彼の『人間の土地』の序文に書かれているものだ。
小説家である以前に、彼は飛行機乗りだった。しかもいまだ飛行機というもの自体が、またそのルートが開拓されつつある時代に彼は冒険的に飛行機輸送のルート切り開いていく者だった。
ほとんどの彼の小説は飛行機乗りの視点から、その不思議な遠近感から大地とそこに生きる人間を捉え、描き出した。
『星の王子様』、『南方郵便機』、『夜間飛行』、『人間の土地』、『闘う操縦士』『戦時の日記1~3』…
短い生涯だった。最後は墜落して死んだ。偵察飛行だった。アフリカにある基地からナチスに占領された地域へ。ナチス・ドイツに支配された祖国フランスのために。軍隊からは拒否されたにもかかわらず、商業飛行の開拓者だったサン=テグジュペリはフランス軍(自由フランスだろうと思うが)に潜り込み、前線への偵察に飛び立った。
彼は『人間の土地』の序文のように生きたのだろうか。「ぽつりぽつりと光っている」灯火は、あるいはレジスタンスの地下抵抗運動の象徴なのかも知れない。いや抵抗運動というはっきりしたものだけではないだろう。なぜならフランス・レジスタンスは、そのレジスタンスの闘いにとどまらず、あらゆる面でナチス・ドイツを拒否しようとしていた。ヴェルコールが『海の沈黙』を書いた。それは日常のすべてを貫くみごとな、峻厳なナチスへのフランスの拒絶だった。海のような沈黙としての。
ナチスとの戦いの中、彼は『戦う操縦士』という作品を書いた。小説なのだろうか? ほとんど事実そのままのように思う。
彼はその本の最後の方で、膨大な言葉を費やし、全身を叩きつけるようにして、フランスへ、世界へ、そこに生きる人たちへのメッセージを書きつづっている。恐らく「ともしびたちと心を通じあう」ために、その「ともしび」たちが、戦争をくぐり抜け、生き抜き、そうした者として出会うために、言葉を発したような気がする。
そこから力を汲み出すことができる言葉として、その言葉は、いま、ここにも届くのだと思う。
強い言葉だ。
困難に立ち向かい、その壁ぶつかり、壁の固さと痛みから刻み出された言葉だ。彼は壁があるからこそ、そのとき人間が輝くと言っている。そしてそこから繋がりあうのだと言っている。
『星の王子様』(直訳すると『小さな王子様』)で知られているサン=テグジュペリ。そのイメージは強い。けれども上の言葉は彼の『人間の土地』の序文に書かれているものだ。
小説家である以前に、彼は飛行機乗りだった。しかもいまだ飛行機というもの自体が、またそのルートが開拓されつつある時代に彼は冒険的に飛行機輸送のルート切り開いていく者だった。
ほとんどの彼の小説は飛行機乗りの視点から、その不思議な遠近感から大地とそこに生きる人間を捉え、描き出した。
『星の王子様』、『南方郵便機』、『夜間飛行』、『人間の土地』、『闘う操縦士』『戦時の日記1~3』…
短い生涯だった。最後は墜落して死んだ。偵察飛行だった。アフリカにある基地からナチスに占領された地域へ。ナチス・ドイツに支配された祖国フランスのために。軍隊からは拒否されたにもかかわらず、商業飛行の開拓者だったサン=テグジュペリはフランス軍(自由フランスだろうと思うが)に潜り込み、前線への偵察に飛び立った。
彼は『人間の土地』の序文のように生きたのだろうか。「ぽつりぽつりと光っている」灯火は、あるいはレジスタンスの地下抵抗運動の象徴なのかも知れない。いや抵抗運動というはっきりしたものだけではないだろう。なぜならフランス・レジスタンスは、そのレジスタンスの闘いにとどまらず、あらゆる面でナチス・ドイツを拒否しようとしていた。ヴェルコールが『海の沈黙』を書いた。それは日常のすべてを貫くみごとな、峻厳なナチスへのフランスの拒絶だった。海のような沈黙としての。
ナチスとの戦いの中、彼は『戦う操縦士』という作品を書いた。小説なのだろうか? ほとんど事実そのままのように思う。
彼はその本の最後の方で、膨大な言葉を費やし、全身を叩きつけるようにして、フランスへ、世界へ、そこに生きる人たちへのメッセージを書きつづっている。恐らく「ともしびたちと心を通じあう」ために、その「ともしび」たちが、戦争をくぐり抜け、生き抜き、そうした者として出会うために、言葉を発したような気がする。
そこから力を汲み出すことができる言葉として、その言葉は、いま、ここにも届くのだと思う。
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