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since Aug.2009.......「声低く語れ(parla basso)」というのはミケランジェロの言葉です。そして林達夫の座右の銘でもありました。                        ふだん私は教室でそれこそ「大きな声で」話をしている気がします。そうしないといけないこともあるだろうと思います。けれども、本当に伝えたいことはきっと「大きな声」では伝えられないのだという気がします。ということで、私の個人のページを作りました。
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  京都学派の哲学者・西田幾多郎がこんなことを述べている。
「偉大な思想家の思想というものは、自分の考えが進むに従って異なって現れて来る。そして新たに教えられるのである。」「はじめてアリストテレスの『形而上学』を読んだのは、30過ぎの時であったかと思う。それはとても分からぬものであった。然るに50近くになって、俄に(にわかに)アリストテレスが自分に生きて来た様に思われ、アリストテレスから多大の影響を受けた」(西田幾多郎「読書」より 京都大学2004年入試問題から重引 一部旧仮名遣いを書き換えた)。
(以下は つづきはこちら へ)

 また先日触れた渡辺一夫も次のように述べる。
彼は「(書籍と申すものは)どうも気味の悪いもの」であり、「読み返してみると、必ず新しいことを読み取るのを普通とする以上、事実僕は常に何かを読み残していることになる」と言っている。そして「本来我々の持っている問題の量や質が我々の認識の量や質とを決定するものであり、我々が少し反省してみると『我々にわかることしか、あるいはわかろうと望んでいるものだけしか、我々にはわからない』というはなはだ寒々とした真実に突き当たるもののようである」と述べている。(渡辺一夫「書籍について」2003年京都大学入試問題より重引)
つまり書籍は気味が悪いくらいその姿を変えていく掴みがたいものになるということだろうか。

西田幾多郎や渡辺一夫ほどの人物にとっても、あるいは彼らほどの人物だからこそ、と言うべきかもしれないが、「読む」ということは奥深く、困難なことであり、行き着く果てのないことだ。だから「読むのは難しいなぁ」という呟きは恥じるものではない。
しかも、そこには<自己>、<言葉>、<書籍>、<筆者>ということが問題群として存在している。そして厄介なことに、本に書かれている文字が変化しない以上、読み取られる内容の変化は読み手の変化であり、読み手自身を映し出してしまうことになる。つまり「読むこと」は自分と直面してしまうことであり、読み方の中に自分のあり方がにじみ出てしまう。難しさの一半はここにあるのかもしれない。
だから、文書の書き手が、その手段である言葉や文字についてさまざまに考え抜いてきたことの裏返しで、「読む」と言うこともひとつの理論的な研究の対象にさえなるのだろう。いまは品切れになっているようだが、イーザーという人の『行為としての読書』というかなり重厚な書物もあった。

この読むという行為は、受験の中でも大切な土台になる。現代文に関わってだけではなく、受験勉強というもののかなりの時間を「読む」と言うことに費やしているのだから。
ここで内田義彦という社会科学者(経済史が専門ですが)の『読書と社会科学』(岩波新書)という本に触れておきたい。これは平明な言葉で書かれている。けれども本当にこの本を読むことは大変だと思わせるところがある本だ(内田義彦の本はたいだいそういう空気がただよっているけれど)。
この本は社会科学の古典を読むと言うことの意味を述べているものだが、その内容は自然科学も含めて、およそ学問的に<ものを読む>ということがどういうことなのかということを考えることのできるものだ。例えば数学の参考書の読み方だって変わるかもしれない。
(続く)
 
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